セルフサービス BIってどう活用するの。身近なシナリオを通して具体例を紹介します。
ここでは、誰にでも身近なスーパーマーケットチェーンを舞台に、セルフサービス BI の利用シナリオを紹介してみたいと思います。
シナリオの舞台は、首都圏、1都6県に、それぞれ1店舗ずつ、合計7店舗を展開する中堅スーパーマーケットチェーン「SQL マート」。創業以来、出店数増加による拡大戦略をとってきましたが、折からの不況により、出店拡大による成長戦略は一旦休止。A社長は、既存店の利益(率)向上による、体力強化を当面の経営方針にすることにしました。

そして、先週開かれた本部社員、店長が出席する幹部会議にて、A社長は、
「来月の幹部会議までに、各自、利益改善プランを提出するように!」
と指示を出しました。特に、基幹店である東京店店長のB店長、スーパーマーケットの要ともいえる食品部門を担当するバイヤーC課長には、店舗と本部を代表して、次回の会議において、それぞれプランを発表するようにと追加で指示しました。
さて、B店長、C課長はどのようなプランを提出すのでしょうか?
店舗事務所のデスクでB店長は悩みます。なぜなら、利益の改善と言われても、広告戦略や利益に直接影響する仕入等は、本部管理であるため、B店長の力ではどうしようもありません。しかし、悩んでいても仕方ないので、B店長は、店舗レベルで実施できる次の2つの改善プランを考えました。
- 商品POPを工夫しお客様の購買意欲を刺激する
- アルバイトのシフトを最適化し、人件費を削減する
しかし、これらのアイデアを実行に移すためには、適切なデータが必要です。
POPの改善が利益改善にどれくらい結びつくかはわかりませんが、変にコスト削減をするより、店長としてはやはり売上向上による利益向上を第一に考えました。POPを魅力的にする方法はいくつか考えられますが、B店長は、商品に「今週の売れ筋No1」など、売れ筋ランキングを表示すれば、お客様の購買意欲を刺激できるのでは?と考えました。なぜなら、B店長自身、ネットなどで売れ筋ランキングを見て、購買意欲を刺激された経験を持っていたからです。
ただ、このようなPOPを作るためには、自分の店舗の売れ筋ランキングを把握しておく必要があります。しかも、できれば部門別に売れ筋ランキングがほしいし、情報もできるだけリアルタイムに把握する必要があります。
B店長は改めて幹部会議で配られる定型資料に目を通しましたが、そのような情報は見当たりません。困りました。
POPの工夫で問題が解決できれば理想的ですが、利益確保のためにはコスト面の最適化もやはり必要だと思ったB店長は、アルバイトのシフトを最適化し、人件費を削減しようと考えました。なぜなら、アルバイトの人数は、本部の指導を目安に、店長が店の状況に応じて調整することになっていましたが、あまり混雑していない日や時間帯に必要以上にアルバイトが配置されている時があり、無駄があるのでは?と前々から感じていたからです。
しかし、実際にシフトを最適化するためには「なんとなく感じる」ではなく、ある程度定量的に混雑する、あるいは逆にすいている時間帯を把握する必要があります。
B店長は改めて幹部会議で配られる定型資料に目を通しましたが、そのような情報は見当たりません。困りました。
困ったB店長は、システム部門にいる同僚に新しい帳票を追加してもらえるよう頼んでみました。しかし、システム部門も一連の利益改善の一貫として、ITコスト削減プロジェクトの真っ最中ということで、次の経営会議までに対応するのは難しいと断られてしましました。しかし、一方で、「システムの改善の一環として導入したSQL Server 2008 R2 には、PowerPivot for Excel というセルフサービス BIを実現する機能があるから、それを使ってみたらどうか」というアドバイスをもらいました。同僚の話によると、「Excel が使える知識があれば、使えるよ」とのこと。
Excelが得意なわけではないB店長でしたが、「悩んでいてもしょうがない!」と奮起し、サーバにアクセスするための簡単な情報をもらい、早速、使ってみることにしました。
B店長は、システム部門から教えてもらった情報を元に、サーバにアクセスし、まずは手始めに部門別売れ筋ランキングを作ってみることにしました。実際にやってみるとほとんどの操作がウイザードやドラッグ&ドロップで操作でき、サーバから取り込んだ部門(区分)情報や、売上情報を組み合わせて簡単に目的の資料を作ることができました。さらに、B店長は、自店のランキングだけでなく、いつも見ているネットのランキングサイトから自分でデータを取得し、自店のランキングとの動向分析も行ってみました。
この表の制作方法は「作る体験」で紹介しています。ぜひ、チャレンジしてみて下さい。
次に、混雑時間帯の表作りに取り掛かりました。混雑は来店者数を把握することで知ることにしました。来店者数を算出するために、1行だけDAXと呼ばれる式を入力しましたが、後は、売れ筋ランキングと同様にド、ラッグ&ドロップで操作することができました。わかりやすくするために、グラフを追加しましたが、メニューから好みのグラフを選ぶだけで簡単に作成することができました。B店長は混雑時間と実際のシフト表を見比べ、不必要に人員が配置されている時間を発見しました。
この表の制作方法は「作る体験」で紹介しています。ぜひ、チャレンジしてみて下さい。
皆が帰社した事務所に一人残り、C課長は利益改善プランの件で悩んでいましたが、前々から改善が必要だと感じていた次の2つの課題を解決するプランで攻めることにしました。
- 仕入先との交渉による仕入価格の見直し
- 一括、一律配送の見直しによる機会ロスと廃棄ロスの削減
しかし、これらを実行するためには、適切なデータが必要です。
C課長が目を付けた仕入価格。実は創業以来、仕入先との交渉は社長が担当しており、担当バイヤーとはいえ、アンタッチャブルな領域も存在しており、実は、以前から、改善の余地があると感じていました。特に、仕入先により、利益率にバラツキがあり、取引先によっては、まだまだ価格交渉の余地があるのでは?とC課長は感じていました。しかし、現在は社長が担当している領域だけに、「改善できる感じがする」では話は通りません。社長と仲のいい取引先もあります。改善ポイントをしっかりと、社長に示し、話を進める必要があります。その為には、仕入先毎の利益率、さらには、商品別の利益率を把握し、交渉をスムーズに進める資料が必要だと考えました。
C課長はあらためて幹部会議の資料を見ましたが、売上実績と利益率の資料はあるものの、仕入先や取扱い商品毎の利益率を管理している資料は見つかりません。困りました。
C課長が、目を付けたロスの問題。ロスの改善は利益改善の王道です。しかし、SQL マートでは、急成長の中、ロジスティクスの簡素化や店舗が関東圏のみでることなどから、各店舗は、ほぼ同じの品ぞろえであり、供給量も均等になっています。しかし、C課長は前々から、同じ関東圏とはいえ、購買動向が異なる商品も少なくなく、均等配送では、売れている店では、機会ロスが、売れていない店では廃棄ロスが発生し、利益の損失につながっていると感じていました。そこで、店舗(地域)による商品の売れ方のバラツキを把握し、配送を最適化できればロスが低減できると考えたのです。
C課長はあらためて幹部会議の資料を見ましたが、店舗毎、商品毎の売上データは個別にあるものの商品毎の売れ行きのバラツキを把握するデータはありません。C課長は困りました。
困ったC課長は、システム部門にいる同僚に新しい帳票を追加してもらえるよう頼んでみました。しかし、システム部門も一連の利益改善の一貫として、ITコスト削減プロジェクトの真っ最中ということで、次の経営会議までに対応するのは難しいと断られてしましました。しかし、一方で、「システムの改善の一環として導入したSQL Server 2008 R2 には、PowerPivot for Excel というセルフサービス BIを実現する機能があるから、それを使ってみたらどうか」というアドバイスをもらいました。同僚の話によると、「Excel が使える知識があれば、使えるよ」とのこと。
少々Excelには腕に覚えのあるC課長は、システム部門からサーバにアクセスするための簡単な情報をもらい、早速、使ってみることにしました。
C課長は手始めに仕入先別の利益率管理表を作ってみることにしました。サーバから取得した商品テーブルの仕入原価と単価(売価)から利益率を算出し、それを仕入先名にマップし、ソートしてみたところ、利益率が悪い仕入先の一覧があっという間に作成できました。さらに、商品名を分析に加えることで、商品毎の利益率も見ることができ、重点的に交渉すべき取引先や交渉のポイントが明確にできました。
この表の制作方法は「作る体験」で紹介しています。ぜひ、チャレンジしてみて下さい。
C課長は次に商品の売れ行きのバラツキを把握するための表作りに取り掛かりました。そのために、まず、商品の各店における売上(個数)状況の把握が必要です。そして、そのバラツキを調べます。バラツキの把握にはExcel の標準偏差関数を利用しました(数字が大きいほどバラツキがあるといえます)。すると、バラツキのある商品が一目瞭然で把握することができたため、物流センターや各店店長と相談しながら、配送料の最適化に取り掛かることにしました。
この表の制作方法は「作る体験」で紹介しています。ぜひ、チャレンジしてみて下さい。
次の月の幹部会で、C課長とB店長は、資料を交えながら、自分なりの利益改善プランを発表しました。社長をはじめとする役員からは「すばらしい」との評価に加え、「そんなに良い資料は、全社的に共有し、活用するように!」と新たな指示が下りました。
全社的に活用といっても、店舗社員の中からは、「リモートで見たい」とか、「Excel を持っていない」という声も聞かれました。利益率向上のために、追加で投資がかかるのは、社長としてはあまり気乗りしません・・・。しかし、システム部門で進められていたシステム改善計画の一環として導入されていたSharepoint Server 2010 によりWeb ブラウザでの利用・共有環境が提供されたため、B店長、C課長のアイデアは、即日、情報共有され、実行されることになしました。




