ここでは実際にSQL Server に接続して、PowerPivot for Excel を利用する方法について説明します。独自にデータベースを用意する必要がないので、PowerPivot for Excel を直ぐに体験できます。Excel を利用したことがある人であれば、容易に操作をマスターすることができるでしょう。簡単、強力なPowerPivot for Excel を体験してください。
ここでは、「利用シナリオ」で紹介したPowerPivot for Excel ファイルを実際に作成する方法について紹介します。業務で応用可能なテクニックを実際に体験することができます。
ここで作成を紹介するPowerPivot for Excel は次の4つです。
- 商品区分(部門)別売上ランキング表
- 時間帯別来店者数一覧(グラフ)
- 仕入先別利益率管理表
- 店舗(地域)別売上バラツキ分析表
PowerPivot for Excel 使用の流れをつかむため、基本操作(3章)に加え、「A. 商品区分(部門)別売上ランキング」(4章)の作成の流れを紹介します。B(5章)、C(6章)、D(7章)については、基本操作を理解していることを前提に設定パラメータやポイントのみを紹介しますので、まず、3章、4章をご覧いただき、その後、残りの章を必要に応じて参照することをお勧めします。
「A. 商品区分(部門)別売上ランキング」の完成イメージは下記のようになります。
このページではPowerPivot for Excel の操作手順をステップバイステップで一通り説明しますが、PowerPivot for Excel の操作を体感してもらうことをゴールとしているため、インストールの細かいオプションや、レポート作成上のテクニック、技術情報については説明しません。これらについては、マイクロソフトのWebサイト上に詳しいページや資料が豊富に用意されています。Webサイトや資料については9章 の「参考情報」を参照してください。
PowerPivot for Excel を利用するためには、Microsoft Office 2010 (Excel 2010) と、そのアドイン(追加機能)であるPowerPivot for Excel が必要になります。
PowerPivot for Excel については、無償でダウンロードすることができます。Microsoft Office 2010 についても試用版をダウンロードすることができます。
PowerPivot for Excel は下記サイトより、無償でダウンロードすることができます。
Microsoft SQL Server 2008 R2 - PowerPivot for Microsoft Excel 2010 - RTM
なお、ダウンロードは、まず、HTMLファイルをダウンロードし、そこに記載されているURLから行います。32bit、64bitの2つのバージョンが存在しますので、お使いの環境に適したバージョンをダウンロードください。
ダウンロードしたファイルを実行し、インストールを行います。インストール後、Excel を起動すると、PowerPivot for Excel をインストールするか確認画面が表示されますので、「インストール」をクリックし、インストールを完了させます。
インストールが正常に完了すると、Excel のリボンコントロールに「PowerPivot」タブが追加されます。これで、PowerPivot for Excel を利用する準備が整いました。
では、基本操作を行ってみましょう。ここでは、PowerPivot for Excel (PowerPivot ウインドウ) の起動、分析対象となるデータの取り込み、データの調整(列の追加など)を行ってみましょう。
まず、Excel を起動します。次に、リボンメニューから、「PowerPivot」タブを選択します。左端に表示される「PowerPivot ウインドウ」をクリックします。すると、PowerPivot ウインドウが表示されます。
PowerPivot for Excel の利用に際しては、まず、このPowerPivot ウインドウで、データの読み込み、調整を行い、それらをExcel シート上で分析(ピボットテーブル、グラフなどを利用)するといった流れになります。
では、まず、分析の対象となるデータを、SQL Server から読み込んでみましょう。データの取り込み処理は、「テーブルのインポートウィザード」を利用して簡単に行うことができます。
なお、PowerPivot for Excel では、SQL Server はもちろん、Web、Excel、他社製データベースなど、あらゆるデータソースからデータを取り込むことが可能です。
PowerPivot ウインドウの「ホーム」タグを選択し、さらに、「データベース」プルダウンから、「SQL Server 」を選択します。
「Microsoft SQL Server データベースへの接続」画面で、読み取り先のデータベースを指定します。「サーバー名」および「データベース名」を指定します。ここでは、サーバー名としてlob.msbi.jp 、データベース名としてNorthwindJforXp を指定します。「次へ」をクリックします。ここでは、サーバ名の入力においては、サーバ名に加えポート番号も指定しています。
なお、「次へ」のタイミング等で認証を求められた場合は、下記表のIDとパスワードを入力してください。データをインポートする方法を選びます。取得の方法としては、GUIを利用して取得するデータを選択するか、SQL文でクエリを記述するかの2つが選べます。ここでは、GUIを利用するため、上段の、「インポートするデータをテーブルとビューの一覧から選択する」を選択します。「次へ」をクリックします。
取得対象として指定したデータベースのテーブルとビューの一覧が表示されます(ビューは生成されていないと表示されません)。ここでは、まず、分析の主対象となる「POSデータ」テーブルを選択します。続いて、リストの下部にある「関連テーブルの選択」ボタンをクリックします。すると、「商品」、「天気」、「店舗」の3つのテーブルが自動的に選択されます。さらにもう一度、「関連テーブルの選択」をクリックします。すると、さらに「仕入先」、「受注明細」、「商品区分」3つのテーブルが追加されます。
この「関連テーブルの選択」は、「POSデータ」テーブルに蓄積されたデータに関連付けられたデータを、他のテーブルから取得するために行います。例えば。「POSデータ」テーブルには、「商品コード」は含まれていますが、「商品名」や「単価」が保持されていません。その為、「商品名」や「単価」を保持する「商品」テーブルを「関連テーブルの選択」により、取得したわけです。さらに、2回押したのは、「商品」テーブルには、「区分コード」は含まれていますが、「区分名」は含まれていません。その為、それを保有する「商品区分」テーブルを「関連テーブルの選択」を再度クリックすることで取得しました。他のテーブルに関しても同様です。
「完了」をクリックします。
完了をクリックすると、データの取り込み処理が実行されます。「成功」と表示されるので、「閉じる」をクリックします。これで、データの取り込みは終了です。
では、取り込まれたデータを確認してみましょう。取り込んだ各テーブルは、PowerPivot ウインドウ下部にあるタブとして列挙され、それらを選択することで、各テーブルにアクセスすることができます。ここでは7つのテーブル(タブ)が確認できます。では、「POSデータ」テーブルを見てみましょう。先ほど、説明したとおり、「POSデータ」テーブルには、「商品コード」は含まれていますが、「商品名」や商品の「単価」などは存在していません。
次に、「商品」テーブルを見てみましょう。こちらには「商品コード」はもちろん、「商品名」、「単価」などの項目が存在していることが確認できます。
お気づきかもしれませんが、この2つのテーブルは「商品コード」を通じて関連づけられています(リレーショナルが組まれています)。また、もし、あらかじめ関連付けが行われていない場合にも、PowerPivot for Excel 上で関連付けを行うことが可能です(関連付けの方法については後述 (4.6.2 で紹介) します)。
では、分析の主対象となる「POSデータ」テーブルを改めて見てみましょう。データ分析を行うための最低限度の情報は含まれているようですが、数字を中心にした情報が多く、直感的に意味を理解しづらい状態です。また、分析上重要となる各商品の小計なども含まれていません。ここでは、分析に先立ち、あらかじめ取扱いやすいようにデータの調整を行っておきましょう。
「POSデータ」テーブルを見やすくするために、関連付けられたテーブルから、データを取得してみましょう。まず、「商品」テーブルから「商品名」を取得し表示してみましょう。
右端のタイトル欄に 「列の追加」と表示された(最も上の)セルを選択し、「=RELATED('商品'[商品名])」(「」は入力しません)と入力します。入力が完了したら、エンターを押します。すると、「商品コード」に紐づけられた「商品名」が取得され表示されます。列名が「CalculatedColumn1」と自動付与されますが、わかりにくいので「商品名」と変更します。
RELATEDはDAX (Data Analysis Expression) 式と呼ばれるもので、Excel の式のように利用することができ、データに対する様々な処理を記述することができます。RELATED は、関連づけられたテーブル、列から、情報を取得する式です。
次に、「単価」も取得します。「商品名」と同様に「列の追加」の1つ下のセルを選択し、「=RELATED('商品'[単価])」と入力します。すると「単価」が表示されます。列名を「単価」と変更しておきましょう。
最後に、「POSデータ」テーブルに存在していた販売「数量」と、「商品」テーブルから取得し追加した「単価」を掛け合わせて小計を表示してみましょう。
「列の追加」の1つ下のセルを選択し、「=[単価]*[数量]」と入力します。計算が行われ小計が表示されます。列名を「小計」と変更しておきましょう。
データの調整は以上です。
ここからが本番です。では、実際にPowerPivot for Excel の機能を使って分析資料を作成してみましょう。
PowerPivot ウインドウの「ホーム」タブを選択し、表示されるボタンから「ピボットテーブル」をクリックすると「ピボットテーブルの作成」ダイアログが表示されるので、「新しいワークシート」を選択します。

ピボットテーブルを含む、新しいワークシートが生成されました。ピボットテーブルを選択すると右に表示されるPowerPivot フィールドの一覧が表示されます。これらのフィールドを選択し、適切な要素(行ラベルや列ラベルなど)にドラッグ&ドロップすることで、直感的かつ簡単にデータ分析を行うことができます。
では、まず、ピボットテーブルの縦の列を設定しましょう。ここでは商品の売上ランキング一覧を作りたいので、その主要素となる商品名を追加します。
「行ラベル」に「商品」テーブルの「商品名」フィールドをドラッグ&ドロップします。
商品名が縦に列挙されました。
ランキングを計算するために必要なデータは、各商品の売上合計ですので、ここでは、先ほど基本操作で「POSデータ」テーブルに追加した「小計」列を利用します。「POSデータ」テーブルから「小計」フィールドを「Σ 値」へドラッグ&ドロップします。商品毎の売上合計が表示されました。小計の合計列の任意のセルを選択し、「降順」で並べ替えを行ってみてください。本題からはそれますが、ここまでの操作で、全商品、全店における売れ筋ランキングは完成しています。後は、商品区分での整理、店舗の制限(東京店のみ表示)を行うだけです。
全行品が対象になったランキングを区分名により整理します。その為には「行ラベル」に「商品区分」テーブルから「区分名」を追加します。なお、追加の順番は、「商品名」より先(上)でなくてはなりません。そこで、区分名をドラッグし、商品名の上部でドロップします。これで、商品区分名別のランキングは表示されました。
なお、区分名を追加すると小計の合計が各区分毎に表示されますが、必要ないので、ここでは非表示にします。「ピボットテーブルツール」のデザインを開き、「小計」をプルダウンさせ、「小計を表示しない」に設定します。
「店舗」テーブルの「店舗名」を「垂直スライサー」にドラッグ&ドロップします。するとピボットテーブルの左側に店舗名から成るボタンが表示されます。このボタンを押すことでボタンに表示された条件にデータを制限することができます。ここでは「東京店」ボタンをクリックします。レポートフィルターを用いても同じ効果が得られますが、スライサーの方が直感的かつ操作が簡単です。
なお、スライサーをOFFにしたい場合は、スライサー画面の右上にある、「ロードに×印」アイコンをクリックします。
商品名
ここまでは、SQL Server から取得したデータのみを元に、分析を行ってきましたが、PowerPivot for Excel を利用すれば簡単に分析データを追加し、独自の視点での分析を行うことができます。ここでは、Webサイト上にある「商品ランキングデータ」をデータソースとして取得し、自社のランキングと比較を行う例を試してみたいと思います。
Webに限らず、データベース以外からデータを取り込み、分析を行う手順は、データの取得、(既存データとの)関連付け設定、分析の3つのステップとなります。
データの取り込みと言っても難しいことは何一つありません。基本的にコピーペーストを行うだけです。Web上で、必要なデータをコピーします。
なお、サンプルのHTMLファイルはこちらで取得できます。
その後、PowerPivot ウインドウの「貼り付け」を選択すると、コピーした情報が貼り付けプレビューとして表示されます。
テーブル名を「全国ドリンクランキング」に設定しOKをクリックします。新しいタブが追加されました。
新規のデータを活用するためには、既存のデータとの関連づけが必要になります。ここでは、商品の名前をキーとして関連付を行います。「全国ドリンクランキング」の「商品」列を選択した状態で、PowerPivot ウインドウの「デザイン」タグを選択し、さらに、「リレーションシップの作成」を選択します。
「リレーションシップの作成」ダイアログが表示されるので、「関連する参照テーブル」を「商品」に、「関連する参照列」を「商品名」にセットし、作成をクリックします。これで、関連付けが行われました。関連づけるデータの名前が違っても問題はありません。ただし、データ内容は同じルールに従っている必要があります。
先ほどのピボットテーブルを開きます。PowerPivot ウインドウ側でデータが変更されたため、PowerPivot フィールド一覧に「PowerPivot データが更新されました(最新の情報に更新)」ボタンが表示されていますのでクリックしデータを更新します。
これで、先ほど追加した「全国ドリンクランキング」テーブルと関連付けデータが読み込まれます。
PowerPivot フィールド一覧に追加された「全国ドリンクランキング」から、「順位」を「Σ 値」にドラッグ&ドロップします。すると、全国におけるドリンクランキングが、自社店舗における飲料区分売上ランキングにマップされ、比較が可能になりました。ここでは、飲料だけを対象にしましたが、データさえあれば、どのような分析も可能です。
これで完成です。
ここでは操作を簡略化し、テーブル列の追加項目や、パラメータ設定のみ記述します。
本章の作業を開始するに当たり、Excel の起動状態から始められる方は、3. の「基本操作」を行い、分析対象データを取得後、作業を行ってください。また、4章から継続して作業を進める方は、[PowerPivot ウィンドウ]で[ピボットテーブル]ボタンより、新規にピボットテーブルを作成([新しいワークシート]を選択)後、本章の作業をお進め下さい。
ここでは、「POSデータ」テーブルに「精算時間帯」という列を追加します。精算時間帯は、「POSデータ」テーブルの「精算日時」からDAX式により時間を抽出することで取得します。
ここでは来店者数を取得するための新しい項目(メジャー)を追加します。メジャーの追加は、「PowerPivot タブ」で表示されるメニューの中から選択(PowerPivot ウインドウアイコンの右隣り)するか、「PowerPivot フィールド一覧」において「POSデータ」を右クリックし、表示されるプルダウンの一番下の「新しいメジャーの追加...」を選択することで行います。
表示される「メジャーの設定」ダイアログに下記の表を参考に値を入力します。
レシートナンバーは重複しているため、DISTINCT により重複を排除し、その上でCOUNTROWS により、数を数えています。レシート数は客数と一致していると想定しています。そして、その数を時間帯別に分離し、時間帯別の来店者数を算出し、時間帯による混雑度合の把握しようとしています。
「精算時間帯」を追加
「来店者数」を追加
垂直スライサーに「店舗名」を追加。東京店を選択。
ピボットテーブルツールのオプションで、「ピボットグラフ」を選択すると「グラフ挿入」ダイアログが開くので、テンプレートから縦棒を選択し、デフォルト値(左上)のテンプレートを選択し、OKをクリック。
時間帯別の来店者数が棒グラフで表示されます。これで完成です。
完成イメージとパラメータ。パラメーター配置等の参考にしてください。
ここでは操作を簡略化し、テーブル列の追加項目や、パラメータ設定のみ記述します。
本章の作業を開始するに当たり、Excel の起動状態から始められる方は、3. の「基本操作」を行い、分析対象データを取得後、作業を行ってください。また、4章から継続して作業を進める方は、[PowerPivot ウィンドウ]で[ピボットテーブル]ボタンより、新規にピボットテーブルを作成([新しいワークシート]を選択)後、本章の作業をお進め下さい。
この分析のためには、利益率データが必要なため、「商品」テーブルの「仕入原価」と「単価」を利用して「商品」テーブルに「利益率」列を1つ追加します。
「仕入先名」を追加
「利益率」を追加し、集計の方法を平均に変更
集計方法の変更は、「Σ 値」に追加したフィールド名を右クリックし表示される「集計の方法」プルダウンにより行います。
商品名
小計の合計
順位
利益率の平均の書式を%、小数点1桁に設定。
「利益率の平均」列の任意のセルを選択し、並び替え「昇順」を選択します。こうすることで、利益率が悪い仕入先順に票がソートされます。
これで完成です。
完成イメージとパラメータ。パラメーター配置等の参考にしてください。
ここでは操作を簡略化し、テーブル列の追加項目や、パラメータ設定のみ記述します。
本章の作業を開始するに当たり、Excel の起動状態から始められる方は、3. の「基本操作」を行い、分析対象データを取得後、作業を行ってください。また、4章から継続して作業を進める方は、[PowerPivot ウィンドウ]で[ピボットテーブル]ボタンより、新規にピボットテーブルを作成([新しいワークシート]を選択)後、本章の作業をお進め下さい。
既にあるデータだけで分析が可能なため、特にデータの調整は必要ありません。
「商品名」を追加
「店舗名」を追加
「数量」を追加
Excel 関数であるSTDEV() を利用します。商品、店舗毎の数量合計の標準偏差を取得します。(値が大きいほど、店舗毎の商品の売れ行きにバラツキが大きい目安となる)
標準偏差列に、データバーを適用し、バラツキの多い商品を直感的にわかるようにします。
完成イメージとパラメータ。パラメーター配置等の参考にしてください。
作成したPowerPivot for Excel ファイルは、PowerPivot for Excel がインストールされたSharePoint Server 2010 上で共有することができます。
アップロードはSharePoint Server 上のサイトの、PowerPivot ギャラリー、ドキュメントタブに存在する「ドキュメントのアップロード」をクリックして行います。
アップロードされたファイルは、Web ブラウザ上で閲覧することが可能です。
この体験ページでは、操作の概要について説明しましたが、マイクロソフトのWebサイトでは、この他にも有益な情報が提供されています。是非、下記コンテンツも合わせてご利用ください。
- SQL Server 2008 R2 自習書シリーズ SQL Server 2008 R2 の新機能が知りたい
- PowerPivot for Excel によるセルフサービス分析
- PowerPivot for Excel 2010 入門編 操作の基礎
- PowerPivot for Excel 2010 応用編 表現力の高い分析レポート

































